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民泊の収支シミュレーション|利回りの計算方法と賃貸経営との比較

民泊の収支シミュレーション|利回りの計算方法と賃貸経営との比較

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民泊の収支シミュレーション|利回りの計算方法と賃貸経営との比較

民泊の収支を確認するコツ



民泊の収支は、物件を決める前に数字で確認しておく必要があります。開業してから想定と違ったと気づいても、初期費用は戻ってきません。

民泊は賃貸経営と比べて売上が大きく振れます。稼働率や単価の見立てを誤ると、想定していた利回りに届かないことがあります。一方で、条件の合う物件では賃貸を上回る収益を確保できます。この差を事前に判別する手段が、収支シミュレーションです。

この記事では、民泊の収支を計算するための手順を、実際の運営で発生する費用に沿って解説します。

  • 民泊の売上と費用の内訳
  • 表面利回りとネット利回りの計算方法
  • 制度別・立地別の収支シミュレーション
  • 賃貸経営と比較したときの収益差

数字はいずれも目安です。物件の立地、規模、制度の選択によって結果は大きく変わります。自分の物件に置き換えて計算できる形で進めていきます。

民泊の運営代行なら楽々プランニング

民泊の収支シミュレーションを行うコツ

民泊の収支シミュレーションは、物件の契約前に完了させてください。契約後では、条件が合わないとわかっても引き返せないためです。

民泊事業では、開業までに数百万円規模の支出が発生します。物件取得費に加えて、リフォーム、消防設備、家具家電、許可申請の費用がかかります。これらは開業前に一括で出ていく資金です。開業してから収支が合わないと判明した場合、投じた資金の大半は回収できません。

収支シミュレーションを行わずに開業した場合、次のような失敗が起こります。

  • 初期投資が想定より膨らみ、回収の見込みが立たなくなる
  • 稼働率が想定を下回り、固定費の支払いに資金繰りが追いつかなくなる
  • 運営代行手数料やOTA手数料を計算に入れておらず、手元に残る金額が想定の半分以下になる

いずれも、事前に数字を置いていれば回避できた失敗です。特に3点目は、売上と利益を混同したまま判断してしまうことで起こります。

計算そのものは複雑ではありません。売上の構成要素と費用の項目を漏れなく並べれば、判断に必要な数字は出せます。

民泊の収支は売上と費用の2軸で整理する

民泊の収支は、売上と費用の2つに分けて考えると整理できます。この2軸を先に固めておくと、以降の計算で項目の漏れが起きにくくなります。

売上側は「いくらで、何日売れるか」で決まります。費用側は「売れた分だけかかるもの」と「売れなくてもかかるもの」に分かれます。まずはこの構造を押さえてください。

民泊の売上はADR・稼働率・営業可能日数で決まる


民泊の売上は、次の計算式で求められます。

年間売上 = ADR(平均宿泊単価) × 365日 × 稼働率

ADR(平均宿泊単価)は、1泊あたりの平均販売価格です。周辺の競合物件を10件以上確認し、実際に販売されている価格帯から設定します。物件規模別のおおよその目安は次のとおりです。

物件タイプ ADRの目安 想定される利用者
1Rマンション(30㎡前後) 8,000〜15,000円 個人・出張
1LDK(50㎡前後) 12,000〜25,000円 カップル・少人数
戸建2LDK〜3LDK(70〜100㎡) 18,000〜35,000円 ファミリー・グループ
一棟貸し(100㎡以上) 25,000〜45,000円 訪日客・グループ

この金額はエリアと物件の状態によって上下します。同じ間取りでも、駅からの距離や設備の内容で倍近い差が出ることもあります。実際に設定する際は、必ず自分の物件の周辺で確認してください。

稼働率は、営業日数のうち実際に宿泊があった日数の割合です。年間365日を分母として計算するのが一般的です。都市部や主要観光地では50〜70%、地方の観光地では30〜50%が一つの目安になります。

営業可能日数は、選択する制度によって上限が決まります。住宅宿泊事業法(民泊新法)では年間180日が上限です。365日換算すると49%となり、これが事実上の稼働率の上限になります。

民泊の費用は変動費・固定費・初期費用に分かれる

民泊の費用は、性質の異なる3つの区分に分けて管理します。区分を混ぜたまま計算すると、稼働率を変えたときにどの費用がどう動くのかがわからなくなります。

区分 主な項目 性質
変動費 清掃費、リネン費、消耗品費、OTA手数料、運営代行手数料、光熱費の従量分 売上や予約組数に比例して増減する
固定費 家賃または住宅ローン、Wi-Fi、水道光熱の基本料、火災保険、消防設備の点検費、住宅宿泊事業の再委託費用 稼働がゼロでも発生する
初期費用 物件取得費、リフォーム、消防設備、家具家電、許可取得、セットアップ 開業前に一括で発生する

このうち、固定費に含まれる住宅宿泊事業の再委託費用は見落とされやすい項目です。家主不在型で民泊を運営する場合、住宅宿泊管理業者への委託が法律上の義務となります。この費用は稼働率に関係なく毎年発生します。

固定費は、売上がゼロの月でも支払いが発生します。開業から最初の予約が入るまでには数週間から数か月かかることが一般的です。最低でも3か月分の固定費を運転資金として別に確保しておいてください。

営業日数の上限が民泊の収支を大きく左右する


民泊の収支を決める最大の要因は、選択する制度です。同じ物件でも、制度によって年間の営業可能日数が変わり、売上が数十パーセント単位で変動します。

民泊として運営できる制度は3つあります。それぞれの要件を比較すると次のようになります。

項目 住宅宿泊事業法(民泊新法) 旅館業法(簡易宿所) 特区民泊
年間営業可能日数 180日 制限なし 制限なし
稼働率の上限(365日換算) 約49% 100% 100%
手続きの区分 届出 許可 認定
申請先 都道府県等 保健所 自治体
住居専用地域での営業 可(条例による制限あり) 原則不可 区域指定による
許可取得費用の目安 150,000円 350,000円 350,000円
消防工事費用の目安 物件により変動 500,000円(戸建の目安) 500,000円(戸建の目安)

費用はいずれも税別です。物件の規模と状態によって変動します。

営業日数の差がどれだけ収支に影響するかを、具体的な数字で確認します。ADR25,000円、稼働率60%を見込める物件を想定します。

  • 旅館業法:365日 × 60% = 219日稼働、年間売上 5,475,000円
  • 民泊新法:180日が上限のため180日稼働、年間売上 4,500,000円

同じ物件、同じ単価、同じ需要でも、年間で約97万円の差が生じます。稼働率を高く見込める立地ほど、この差は大きくなります。

ただし、旅館業法のほうが常に有利というわけではありません。許可の要件が厳しく、初期費用も高くなります。制度は物件の用途地域と建築構造によって選択肢が決まるため、まず自分の物件でどの制度が使えるのかを確認してください。

民泊新法は年間180日が上限となる

住宅宿泊事業法では、1年間に人を宿泊させられる日数の上限が180日と定められています。この日数は正午から翌日正午までを1日として数えます。

注意が必要なのは、自治体によって180日より短く設定されている場合があることです。条例で特定の期間の営業を制限しているケースがあります。住居専用地域では平日の営業を認めないといった上乗せ規制も存在します。

届出制であるため手続きの負担は比較的軽く、初期費用も抑えられます。一方で、営業日数の上限が売上の天井を作ります。ADRを高く設定できる物件でなければ、収支が合いにくい構造です。

旅館業法の簡易宿所は通年営業できる

旅館業法に基づく簡易宿所の許可を取得すれば、営業日数の制限はなくなります。年間を通じて営業できるため、売上の上限が外れます。

その代わり、要件は厳しくなります。住居専用地域では原則として営業できません。建築基準法上の用途変更が必要になる場合もあります。消防設備についても、自動火災報知設備や誘導灯など、民泊新法より重い基準が適用されます。戸建の場合、消防工事に50万円程度を見込んでおく必要があります。

既存の許可を承継できる物件であれば、この負担を大きく圧縮できます。旅館業許可のついた物件が市場に出た場合は、収支の観点から検討する価値があります。

特区民泊は指定区域でのみ選択できる

特区民泊は、国家戦略特別区域に指定された地域でのみ利用できる制度です。営業日数の制限はありませんが、区域が限られます。

また、最低宿泊日数の要件があり、短期の滞在には対応できません。連泊を前提とした集客設計が必要になります。自分の物件が対象区域に含まれるかどうかは、自治体の窓口で確認してください。

家主不在型では管理業者への委託費用が民泊の収支に載る

家主不在型で民泊を運営する場合、住宅宿泊管理業者への委託が住宅宿泊事業法上の義務です。この委託費用は、収支シミュレーションに必ず計上してください。

家主不在型とは、宿泊者の滞在中にオーナーがその住宅に居住していない形態を指します。物件を購入して民泊として運用する場合、ほとんどがこの形態にあたります。つまり、委託費用は例外的な支出ではなく、通常の運営に必ず発生する固定費です。

委託費用の水準は事業者によって異なります。楽々プランニング株式会社では、住宅宿泊事業の再委託費用を年間120,000円(税別)としています。この費用は稼働率に関係なく発生するため、固定費として計上します。

委託先を選ぶ際は、国土交通大臣の登録を受けているかどうかを必ず確認してください。住宅宿泊管理業は登録制であり、登録のない事業者に委託することはできません。

なお、この費用は運営代行の手数料とは別の項目です。両者を混同すると、収支計算で二重計上または計上漏れが起こります。

民泊の利回りは2種類の計算式で求める

民泊の収支を判断する際は、ネット利回りを使ってください。表面利回りは費用を含まないため、実際の収益力を反映しません。

表面利回りは費用を含まない

表面利回りは、次の計算式で求めます。

表面利回り = 年間売上 ÷ 物件取得費 × 100

計算が簡単で、物件を比較する際の目安として使われます。しかし、清掃費も手数料も光熱費も含まないため、実際に手元に残る金額とは無関係です。

民泊は変動費の比率が高いビジネスです。運営代行手数料、OTA手数料、清掃費を合計すると、売上の40%を超えることも珍しくありません。表面利回りだけで判断すると、実態の3分の1程度しか残らないという事態が起こります。

広告や記事で目にする「利回り20%超」といった数字の多くは、表面利回りです。数字を見たときは、どちらの利回りなのかを必ず確認してください。

ネット利回りが判断の基準になる

ネット利回りは、次の計算式で求めます。

ネット利回り = (年間売上 − 年間運営費) ÷ (物件取得費 + 初期費用) × 100

分子から運営費を引き、分母に初期費用を加えます。これにより、実際に投じた資金に対してどれだけの利益が生まれるかがわかります。

賃貸経営との比較も、他の投資先との比較も、ネット利回りで行ってください。表面利回りでの比較は、条件の異なるものを並べているのと同じです。

投資回収期間は利益ベースで計算する

投資回収期間は、次の計算式で求めます。

投資回収期間 = 初期投資総額 ÷ 年間利益

ここで注意すべきなのは、分母に売上を入れてはいけないという点です。売上をそのまま回収原資として計算すると、実態と大きく乖離します。

たとえば年間売上が365万円の物件で、初期投資が1,785万円だったとします。売上で割ると約4.9年です。しかし運営費を差し引いた年間利益が137万円であれば、実際の回収期間は約13年になります。この2つの数字には、判断を左右するだけの差があります。

事業計画の場面でこの誤りは頻繁に起こります。自分の試算に売上ベースの回収年数が混ざっていないか、一度確認してみてください。

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民泊の収支シミュレーションを組むステップ【3シナリオで組むことがおすすめ】

民泊の収支シミュレーションは、保守・標準・最大の3シナリオで作成してください。1つの前提だけで判断すると、需要が下振れしたときに対応できません。

3シナリオを作る目的は、上振れ時の利益を見ることではありません。保守シナリオでも黒字を確保できるかどうかを確認することにあります。この条件を満たせない物件は、開業を見送る判断も含めて検討してください。

以下、モデルケースで実際に計算します。説明のための仮想モデルであり、実際の数字は物件とエリアによって変わります。

モデルケースの前提条件を設定する

戸建物件を購入し、民泊新法で運営する想定で設定します。

項目 内容
物件種別 戸建(4人収容)
物件取得費 15,000,000円
制度 住宅宿泊事業法(年間180日上限)
ADR 25,000円
平均宿泊日数 2.0泊
運営体制 フル運営代行(売上の18%)
清掃 業者委託(1回8,000円)

清掃費は東京23区・京都市内の料金を基準としています。他のエリアでは交通費やリネンの手配方法によって変動します。

初期費用を積み上げる

物件取得費とは別に発生する初期費用を積み上げます。

項目 金額
許可取得費用(住宅宿泊事業) 150,000円
セットアップ費用(4人収容) 300,000円
家具家電の実費 1,200,000円
消防設備 300,000円
物件取得の諸費用(登記・仲介等) 900,000円
合計 2,850,000円

金額は税別です。家具家電の実費はオーナー負担となります。

セットアップ費用には、インテリア提案、家具の発注代行、資材の廃棄代行、ハウスマニュアルの作成、カメラマンによる撮影、5か国語対応の集客サイト作成が含まれます。個別に発注する場合はそれぞれ費用が発生するため、まとめて依頼したほうが総額は抑えられます。

物件取得費と合わせた投資総額は17,850,000円となります。この金額が利回り計算の分母になります。

3シナリオの年間収支を比較する

稼働率30%、40%、49%の3水準で年間の収支を算出します。49%は民泊新法の180日上限に相当する数値です。

項目 保守(30%) 標準(40%) 最大(49%)
年間稼働日数 110日 146日 180日
年間予約組数 55組 73組 90組
年間売上 2,750,000円 3,650,000円 4,500,000円
清掃費 440,000円 584,000円 720,000円
運営代行手数料(18%) 495,000円 657,000円 810,000円
OTA手数料(15%) 412,500円 547,500円 675,000円
光熱費の従量分 110,000円 146,000円 180,000円
変動費 小計 1,457,500円 1,934,500円 2,385,000円
固定費 小計 348,000円 348,000円 348,000円
年間利益 944,500円 1,367,500円 1,767,000円
表面利回り 18.3% 24.3% 30.0%
ネット利回り 5.3% 7.7% 9.9%
投資回収期間 約18.9年 約13.1年 約10.1年

固定費の内訳は、住宅宿泊事業の再委託費用120,000円、Wi-Fi60,000円、水道光熱の基本料48,000円、火災保険48,000円、備品消耗費72,000円です。物件を購入しているため家賃は発生しません。

この表で注目していただきたいのは、表面利回りとネット利回りの差です。標準シナリオでは表面利回りが24.3%であるのに対し、ネット利回りは7.7%にとどまります。3分の1以下です。この差が、変動費比率の高い民泊事業の特徴です。

収支シミュレーションから読み取るべき3点

上記の試算から、判断に使える情報を3点整理します。

  • 稼働率10%の差が年間利益を40万円以上動かす:保守と標準の利益差は約42万円。売上の見立てが投資回収期間を大きく左右する
  • 保守シナリオでも黒字を確保できている:稼働率30%でも年間94万円の利益が残る構造であれば、需要の下振れに耐えられる
  • 購入物件では投資回収期間が長くなる:賃貸物件を借りて運営する場合は投資総額が小さくなり、利回りは大きく出る

他の事例と比較する際は、購入方式か賃貸方式かの前提を揃えてください。前提が異なる数字を並べても比較になりません。

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立地タイプ別!民泊の収支の前提

民泊の収支は、立地によって前提そのものが変わります。同じ稼働率50%でも、その数字の実現しやすさはエリアによって異なります。

立地を「都市部か地方か」という距離軸だけで分類すると、判断を誤ります。需要がどこから来るのか、その需要が何に影響されるのかという構造で見てください。

都市型は供給の増加に注意する

都市部の民泊は、需要が特定のエリアに集中する傾向があります。主要駅や観光拠点の周辺に予約が集まり、そこから離れると稼働率が下がります。

注意が必要なのは、外周部での供給の増え方です。物件価格が中心部より抑えられるため参入しやすく、結果として施設数が増えます。一方で、訪日客の増加ペースが施設数の増加ペースに追いついていないエリアでは、1施設あたりの予約が分散します。

同じ市内であっても、競合密度によって稼働率の前提は変えるべきです。周辺の競合物件を実際に確認し、カレンダーの埋まり方を見てから稼働率を設定してください。

観光地・リゾート型は外部要因への耐性が異なる

観光地やリゾート地の民泊は、都市部とは異なる需要構造を持ちます。ビジネス需要に依存せず、旅行そのものを目的とした宿泊が中心になるためです。

感染症の流行時には、都市部の宿泊需要が大きく落ち込みました。一方で、屋外で過ごせる環境や、他の宿泊客と接触の少ない一棟貸しの物件では、需要の落ち込み方が異なったという実務上の経験があります。

この傾向は、外部環境の変化に対する耐性の違いとして収支に影響します。ただし、統計として確立された事実ではありません。エリアごとに事情が異なるため、検討材料の一つとして扱ってください。

旅館業許可の取れる物件は参入障壁が高い

旅館業許可を前提とした物件は、取得のハードルが高くなります。用途地域の制限に加えて、建築構造や消防設備の要件を満たす必要があるためです。

さらに、金融機関からの融資が通りにくい傾向があります。宿泊施設としての収益力ではなく、物件そのものの担保評価で判断されるためです。評価額が出にくい物件では、自己資金の比率を高める必要が生じます。

参入しにくいということは、競合が増えにくいということでもあります。営業日数の制限がなく、周辺に同種の施設が少ない立地であれば、収支の面で有利に働く可能性があります。

物件選定では収益条件を先に定義する

物件を探す前に、その立地で単価を上げられる条件を定義してください。条件を後から探すより、条件を満たす物件を探すほうが効率的です。

宿泊料金に反映しやすい条件には、次のようなものがあります。

  • 駐車場の台数(車での移動が前提のエリアでは複数台分が効く)
  • 屋外で過ごせる設備の有無(テラス、庭など)
  • 眺望や周辺環境の特徴
  • 収容人数(グループ利用に対応できるかどうか)

これらの条件が複数そろう物件では、周辺の相場より高い単価を設定できる場合があります。逆に、条件が一つも当てはまらない物件では、価格競争に入りやすくなります。

条件はエリアによって異なります。何が単価に効くのかは、周辺の競合物件のうち高単価で稼働しているものを確認すれば見えてきます。

賃貸経営と民泊の収支を同一物件で比較する

同じ物件を賃貸で運用した場合と民泊で運用した場合を比較します。前章のモデルケース(取得費1,500万円の戸建)を使い、条件をそろえて並べます。

項目 賃貸経営 民泊(標準シナリオ)
年間売上 1,200,000円 3,650,000円
年間経費 300,000円 2,282,500円
年間利益 900,000円 1,367,500円
投資総額 15,900,000円 17,850,000円
ネット利回り 5.7% 7.7%
投資回収期間 約17.7年 約13.1年
運営の手間
収益の振れ幅

賃貸の想定は月額家賃10万円、経費は管理費・修繕積立・固定資産税を合わせて年30万円としています。

標準シナリオでは、民泊のほうが年間利益で約47万円、ネット利回りで2ポイント上回ります。ただし、この差は稼働率の前提に依存します。保守シナリオでは民泊の利回りは5.3%となり、賃貸を下回ります。

民泊を選ぶ場合、次の点を前提として受け入れる必要があります。

  • 稼働率が季節や外部要因で変動し、収益が安定しない
  • 予約対応、清掃手配、レビュー管理など運営の手間が賃貸より大きい
  • 家具家電の購入分だけ初期投資が多くかかる
  • 近隣とのトラブルが発生するリスクがある
  • 開業から最初の予約までに期間があり、立ち上げ期は売上がゼロに近い

これらを踏まえると、賃貸か民泊かは物件の立地と所有者の運営体制で決まります。稼働率を高く見込める立地であり、運営を任せられる体制があるなら民泊に分があります。そうでなければ、賃貸のほうが総合的に合理的です。

民泊の運営代行なら楽々プランニング

実際の運営実績では利回り22〜32%の事例がある

楽々プランニング株式会社が運営を代行している物件のうち、賃貸想定を大きく上回る利回りを記録している事例を紹介します。

事例 物件 賃貸での想定利回り 民泊での実績利回り
40代・個人 別荘 8% 22%
50代・会社員 7% 28%
30代・法人 マンション一室 10% 32%

これらは特定の物件における実績であり、すべての物件で同じ結果が出るわけではありません。立地、物件の状態、運営体制のいずれかが異なれば、数字は変わります。

3件に共通しているのは、賃貸での想定利回りが低い物件であった点です。賃貸市場での評価が高くない物件でも、宿泊需要のある立地であれば収益が改善する場合があります。逆に、賃貸で十分な利回りが出ている物件をあえて民泊に切り替える必要性は高くありません。

民泊の収支シミュレーションで見落としやすい6つの費用

収支シミュレーションで計上漏れが起きやすい費用を6点挙げます。いずれも、初回の試算では抜けやすい項目です。

  • 住宅宿泊事業の再委託費用:法律上の義務であるにもかかわらず任意の支出と誤解されやすい。年間120,000円が目安
  • 消防設備の設置費用と定期点検費:設置費用は計上しても点検費用が漏れやすい。旅館業の戸建では設置だけで50万円程度
  • 緊急対応の実費:日中で5,000円、深夜帯では20,000円が目安。稼働している限り一定の頻度で発生する
  • リネンの外注費と消耗品費:清掃費に含まれる範囲は事業者によって異なる。契約前に確認が必要
  • 家具家電の買い替え・修繕費:初期費用としては計上されるが、更新費用が漏れやすい
  • 立ち上げ期の売上ゼロ期間:レビューが蓄積するまで予約が入りにくく、1〜3か月かかることがある

これらを積み上げると、初回の試算より年間で数十万円単位の差が出ることがあります。試算の精度を上げるには、費用項目を先に洗い出してから金額を入れる手順が有効です。

民泊の収支を改善する4つの打ち手

試算の結果が想定を下回った場合、物件を諦める前に改善の余地を確認してください。売上を上げる方向と、変動費を下げる方向の両方に打ち手があります。

OTAの掲載先を増やして予約経路を分散する

1つの予約サイトに依存すると、そのサイトの表示順位の変動がそのまま稼働率に響きます。複数のサイトに掲載すれば、接触できる利用者層が広がります。サイトごとに利用者の属性が異なるため、閑散期の埋まり方も変わります。

写真とリスティングを見直して稼働率を上げる

検索結果で最初に見られるのは写真です。撮影の質と掲載順によって、同じ物件でもクリック率が変わります。説明文についても、多言語対応の有無で訪日客からの予約数に差が出ます。

連泊しやすい価格設定にして清掃回数を減らす

清掃費は予約組数に比例します。同じ稼働日数でも、1泊の予約が続く場合と連泊が中心の場合では、清掃回数が2倍近く変わります。2泊以上の割引を設定すれば、売上を大きく落とさずに変動費を下げられます。

運営代行の範囲を見直す

運営代行の手数料は、業務範囲によって変わります。楽々プランニング株式会社の場合、フル運営代行が売上の18%、メール電話対応を中心とした限定プランが12%です(いずれも税別)。

この6ポイントの差は、サービスの質の差ではなく業務範囲の差です。限定プランでは、価格設定、検索順位の対策、緊急対応が事業者側の負担となります。手数料率だけを比較して安いプランを選ぶと、対応しきれない業務が残り、結果として稼働率が下がることがあります。

自社で対応できる業務があるかどうかを基準に選んでください。本業を持っている場合や物件が遠方にある場合は、フル代行のほうが総合的な収支は良くなる傾向があります。

 

民泊の収支シミュレーションに関するよくある質問
ここからは、民泊の収支シミュレーションに関するよくある質問に回答していきます。

Q. 民泊新法と旅館業では、どちらが収支の面で有利ですか?

営業日数の上限がない分、旅館業のほうが売上の天井は高くなります。ただし、許可の要件が厳しく、消防設備を含めた初期費用も大きくなります。

物件の用途地域と建築構造によって選べる制度が決まるため、まず自分の物件でどちらが可能かを確認してください。両方が選択できる場合は、初期費用の差と営業日数の差を数字で比較して判断します。

Q. 副業として民泊を始められますか?

可能です。ただし、家主不在型であれば住宅宿泊管理業者への委託が法律上の義務となるため、その費用を前提に収支を組んでください。

予約対応や清掃手配を自分で行う想定であれば、本業との両立ができるかを事前に確認する必要があります。運営代行を利用する場合は、手数料を差し引いた収支で判断してください。

Q. 収支シミュレーションのテンプレートはありますか?

この記事の項目に沿って、表計算ソフトで作成できます。売上、変動費、固定費、初期費用の4区分を作り、稼働率を3水準で切り替えられる形にすると使いやすくなります。

楽々プランニング株式会社では、物件の条件をお預かりして3シナリオの収支シミュレーションを無料で作成しています。

Q. 表面利回りとネット利回りは、どちらで判断すべきですか?

ネット利回りで判断してください。民泊は変動費の比率が高く、表面利回りとネット利回りの差が3倍以上になることもあります。

他社の事例や広告で示されている利回りを参考にする場合も、どちらの数字なのかを確認してください。

Q. 初期費用はいくらから始められますか?

物件を賃貸で借りる場合と購入する場合で大きく変わります。賃貸であれば、敷金礼金、家具家電、許可取得、セットアップを合わせて200万円前後から始められる場合があります。

購入の場合は物件取得費が加わるため、総額は数千万円規模になります。

まとめ:ネット利回りで判断し、保守シナリオで黒字になる物件を選ぶ

民泊の収支シミュレーションについて、押さえるべき点を整理します。

  • 売上は「ADR × 365日 × 稼働率」で計算し、制度による営業日数の上限を必ず反映する
  • 費用は変動費・固定費・初期費用の3区分に分け、住宅宿泊事業の再委託費用を漏らさない
  • 判断にはネット利回りを使い、投資回収期間は売上ではなく利益で割る
  • 保守・標準・最大の3シナリオで組み、保守シナリオでも黒字になる物件を選ぶ

数字が合わない場合でも、費用の構成や運営体制を見直すことで改善できる場合があります。物件を諦める前に確認してみてください。

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