「民泊を始めたいけれど、どんな物件を選べばいいのかわからない」と悩んでいませんか?
結論から言うと、民泊の収益は、どの物件を選ぶかで大半が決まります。家具や写真にどれだけこだわっても、物件の場所を間違えると予約は入りません。
私も運営代行の現場で、「開業してみたけれど、思ったほど予約が入らない」という相談を何度も受けてきました。その多くは、物件を決めた時点で結果が見えていたんですよね。
この記事でわかること
まずは、そもそも民泊ができる物件かどうかを見分ける条件を整理します。気に入った物件が見つかっても、この3つのどれかに引っかかると営業できません。あなたが検討している物件は、3つとも満たしていますか?
民泊ができる物件の1つ目の条件は、営業に使う法律の条件を満たしていることです。
民泊は、民泊新法(住宅宿泊事業法)、旅館業法、国家戦略特区法(特区民泊)のどれかに沿って営業します。どの法律を使うかで、物件に求められる条件が変わるんです。
たとえば民泊新法なら、台所・浴室・トイレ・洗面設備がそろった「住宅」であることが条件です。旅館業法なら、客室の広さや消防設備など、宿泊施設としての基準を満たす必要があります。3つの法律の違いは以下の記事で詳しく解説しています。
https://www.rakurakup.com/article/hotel/regulations
2つ目の条件は、用途地域と建築基準法の条件に合っていることです。
用途地域とは、都市計画で決められた土地の使い方の区分です。全部で13種類あり、地域によって建てられる建物や営める事業が決まっています。
旅館業の許可は、第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域などでは取れません。
民泊新法なら住居専用地域でも営業できますが、条例で営業日を制限している自治体が多くあります。また、旅館業で200㎡を超える建物を使うときは、建築基準法の「用途変更」の手続きも必要です。物件の用途地域は、自治体の都市計画図で調べられますよ。
3つ目の条件は、マンションの管理規約や賃貸の契約で、民泊が禁止されていないことです。
法律の条件を満たしていても、建物のルールや契約で禁止されていれば営業できません。
分譲マンションの場合は、管理規約で民泊が認められているかを確かめます。賃貸物件の場合は、大家さんの転貸承諾書(又貸しを認める書面)が必要です。民泊新法の届出では、どちらも書類として提出を求められます。口頭で「いいですよ」と言われただけでは足りないんです。
ここまでの3つが、民泊ができる物件の最低条件です。ただ、「民泊ができる物件」と「予約が入る物件」は別物なんですよね。次の章では、その違いを見ていきます。
同じ民泊でも、予約が途切れない物件と、ほとんど予約が入らない物件があります。この違いはどこから生まれるのか。運営代行の現場で見てきた違いを、4つの条件で整理します。
稼働率が高い物件には、共通して4つの条件がそろっています。
稼働率とは、営業できる日のうち、実際に予約が入った日の割合のことです。30日営業できる月に15日予約が入れば、稼働率は50%になります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| エリアに需要がある | 泊まりたい人が集まる場所にある |
| 価格の設定が適切 | 周辺の相場や季節に合わせて料金を変えている |
| 予約サイトで上位に表示される | 予約サイト内の検索で上位に出る工夫をしている |
| 掲載ページに魅力がある | 写真や説明文が「予約したい」と思わせる |
1つ目は物件そのものの条件で、2〜4つ目は運営の力で決まる条件です。つまり、稼働率は「物件選び」と「運営」のかけ算で決まるんです。
稼働率が低い物件は、先ほどの4つの条件のどれかが欠けています。
欠けている条件を見つけるには、まず平均と比べて、自分の物件がどの位置にいるかを知るのが近道です。
観光庁の実績では、民泊新法の届出住宅1軒あたりの宿泊日数は、2026年2〜3月の2か月で17.2日でした。1か月あたりに直すと約9日、稼働率にすると約28%です。自分の物件がこれを大きく下回るなら、4つの条件のどこかに問題があると考えてみてください。
4つの条件の中で最も致命的なのは、エリアに需要がないことです。
価格、予約サイトでの表示、掲載ページの3つは、運営の工夫であとから改善できます。ところが、物件の場所だけは変えられません。
備品をそろえても、プロのカメラマンに写真を撮ってもらっても、そもそも泊まりたい人がいない場所では予約は入らないんです。私たちが相談を受けた物件でも、需要のないエリアでは、どれほど運営を工夫しても稼働率がほとんど上がらないケースがありました。物件を決める前の見極めが、何よりも結果を左右するんですよね。
一方で、需要のあるエリアでも、見せ方と価格を誤ると予約は入りません。
ゲストは、予約サイトで同じエリアの物件を何十件も見比べてから選びます。写真が暗い、説明がわかりにくい、相場より高いといった物件は、比べられた時点で外されてしまうんです。
同じ駅、同じような間取りでも、写真と価格を見直しただけで稼働率が大きく変わることがあります。予約が入らない原因の見直し方は「【2026年版】民泊の予約が減った・入らない原因は?」で詳しく紹介しています。
では、物件を決める前に、エリアの需要をどう見極めればいいのか。次の章で具体的な方法を紹介します。
エリアの需要は、あとから変えられない条件でした。だからこそ、物件を契約する前に確かめておきたいところです。この章では、需要を見極める4つの方法を紹介します。どれも今日から試せる方法ですよ。
需要を見極める第一歩は、「誰が、何のために泊まる場所か」を考えることです。
ゲストが泊まる目的によって、求められる場所がまったく違います。目的がはっきりしないエリアは、需要も読みにくくなります。
| 目的 | 需要がある場所の例 |
|---|---|
| 観光 | 観光地の近く、観光地へ乗り換えなしで行ける駅の周辺 |
| ビジネス | オフィス街や新幹線の停車駅の近く |
| イベント | コンサート会場やスタジアムの近く |
| 長期滞在 | 生活に便利な住宅地、スーパーや駅の近く |
たとえば大阪で物件を探すなら、難波や梅田への行きやすさで、観光客の需要をある程度読めます。「このエリアには、こういう人が、こういう理由で泊まりに来る」と1文で説明できるかどうか、試してみてください。
次に、近くの民泊の予約状況を、予約サイトで確かめます。
周辺の物件がどれだけ予約されているかは、そのエリアの需要をいちばん直接的に表しています。Airbnbなどでは、物件ページの予約カレンダーで空き状況を見られます。
見るべきポイントは、次の3つです。
ただし、カレンダーの「予約不可」には、ホストが自分で予約を止めている日も含まれます。1軒だけで判断せず、周辺の10軒ほどをまとめて見るのがコツです。
より正確に知りたいなら、データツールで稼働率と宿泊単価を調べます。
AirDNAなどのツールは、民泊の稼働率や1泊あたりの単価を、エリアごとに集計したサービスです。予約サイトを目で見るだけではわからない、年間を通した数字をつかめます。
特に見ておきたいのは、月ごとの稼働率の波です。夏や桜の季節だけ高く、ほかの月は低いエリアもあります。年間の売上の見込みを立てるには、ピークの数字だけでなく、閑散期の数字まで確かめておく必要があるんです。
最後に、訪日客の増加と、地域の規制の動きをあわせて見ます。
2025年の訪日客は4,268万人で、過去最高になりました。全体として、民泊の需要は伸びています。
ところが、需要が大きい地域ほど、近隣とのトラブルも増え、規制が強まる傾向があります。大阪市の特区民泊の新規受付終了や、東京の一部の区での営業日数の制限がその例です。需要があるエリアでも、規制で思うように営業できなければ意味がありません。需要と規制の両方を見て、はじめて物件の良し悪しが判断できるんですよね。
エリアが決まったら、次は物件そのものの条件を見ていきます。同じエリアでも、選ぶ物件によって稼働率と単価は変わってきます。この章では、収益を上げやすい物件の条件を4つ紹介します。
収益を上げやすい物件の1つ目の条件は、駅や観光地からのアクセスがよいことです。
海外からのゲストの多くは、大きなスーツケースを持って電車で移動します。乗り換えが多い物件や、駅から坂道を長く歩く物件は、それだけで予約の候補から外されがちなんです。
目安としては、空港や新幹線の駅から乗り換え1回以内、最寄り駅から徒歩10分以内が理想です。観光地に行くのに30分以上かかる場合は、ほかの魅力で補えるかを考えておきましょう。
2つ目の条件は、間取りと定員が、ねらうゲストに合っていることです。
特に、家族やグループで泊まれる物件は、1泊あたりの単価を上げやすくなります。ホテルでは複数の部屋に分かれるグループも、民泊なら1部屋にまとまって泊まれるからです。
たとえば、ワンルームで2名までの物件と、3LDKで8名まで泊まれる物件では、1泊の料金に数倍の差がつくこともあります。定員を増やすときは、ベッドや布団の数だけでなく、トイレや洗面所の数が足りるかもあわせて考えてみてください。
3つ目の条件は、ゲストが重視する設備がそろっていることです。
ゲストは、予約サイトの設備の欄で物件を絞り込みます。必要な設備がないと、検索の段階で表示すらされないことがあるんです。
予約の決め手になりやすい設備は、次のとおりです。
この中で、あとから加えにくいのがバスとトイレの配置です。物件を選ぶ段階で確かめておきましょう。
駅から遠い物件でも、ほかにない価値があればゲストに選ばれます。
アクセスの悪さは、「そこでしか体験できないこと」で補えるんです。ゲストは、宿泊そのものを旅の目的にすることもあります。
たとえば、海や山が見える眺望、築100年の古民家、庭付きの一棟まるごとの貸し切りなどです。車で移動する家族連れや、グループ旅行のゲストにとっては、駅からの距離よりも広さや景色のほうが大事なんですよね。田舎の物件でも、こうした価値があれば予約は十分に入ります。
民泊に使う物件は、大きくマンション、一戸建て、空き家・古民家の3種類に分かれます。それぞれに向き不向きがあるので、あなたの目的に合う種類を選んでみてください。
マンションは、1-3で触れた管理規約の確認が最初の関門になります。
マンションは、駅の近くの物件が多く、少ない初期費用で始めやすいのが利点です。一方で、多くの分譲マンションでは、管理規約で民泊が禁止されています。
規約で認められていても、共用部分でのゲストの出入りや騒音で、住民から苦情が来ることがあります。苦情が重なると、管理組合が規約を改正して民泊を禁止することもあるんです。
一戸建ては、大人数で泊まれるため、単価を上げやすい物件です。
4-2で触れたように、定員が多い物件ほど1泊の料金を高く設定できます。隣の住戸と壁を共有しないため、マンションよりも騒音の苦情が起きにくい点もメリットです。
ただし、部屋の数が多いぶん、清掃の手間と費用が増えます。建物が広くなると、自動火災報知設備などの消防設備も必要になり、初期費用が上がる点には注意が必要です。
空き家や古民家は、物件を安く手に入れられますが、改修の費用に注意が必要です。
地方の空き家は、数百万円ほどで買えることもあります。古民家は、4-4で触れたように、それ自体が宿泊の目的になる魅力を持っています。
ところが、古い建物ほど、耐震補強や水回りの交換、消防設備の設置で費用がかさみます。購入価格より改修費のほうが高くなることも珍しくありません。購入の前に、改修費の見積もりまで取ってみてください。
| 種類 | 向いているゲスト | 主なメリット | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| マンション | 少人数、ビジネス客 | 初期費用が少ない、駅の近くが多い | 管理規約、住民の苦情 |
| 一戸建て | 家族、グループ | 単価を上げやすい、騒音の苦情が少ない | 清掃の負担、消防設備の費用 |
| 空き家・古民家 | 体験を求める観光客 | 取得費が安い、独自の魅力 | 改修費がかさむ |
物件の種類と並んで悩むのが、「借りるか、買うか」ですよね。この章では、賃貸と購入のそれぞれのメリットと注意点を比べます。
賃貸(転貸)で始める方法は、初期費用が少なく、撤退しやすいのが強みです。
物件を買う必要がないため、敷金や礼金、家具や家電、消防設備などの費用だけで始められます。うまくいかなければ、賃貸の契約を解約して撤退できます。
一方で、稼働率に関係なく、毎月の家賃は払い続けなければなりません。閑散期に予約が入らないと、そのまま赤字になるんです。また、先ほどの転貸承諾書をもらえる物件は限られるため、物件探しに時間がかかることもあります。
物件を買って始める方法は、利回りを上げやすい一方で、規制が変わるリスクを抱えます。
家賃の支払いがないため、売上の多くが手元に残ります。私たちが運営する物件の中には、実績利回りが22%・28%・32%の物件もあります。
ただし、自治体の規制が強まると、営業日数が減ったり、新規の営業ができなくなったりします。そうなれば、売却するか、賃貸住宅など別の用途に切り替えるしかありません。購入するなら、規制が強まった場合の出口まで考えておきましょう。収支の計算方法は「民泊の収支シミュレーション|利回りの計算方法と賃貸経営との比較」で紹介しています。
どんな物件がよいかがわかったら、いよいよ物件探しです。この章では、民泊向けの物件を探す4つの方法を紹介します。1つに絞らず、組み合わせて探してみてください。
1つ目は、民泊専用の物件検索サイトで探す方法です。
民泊専用のサイトには、大家さんが転貸を認めている物件が集められています。先ほどの転貸承諾の交渉をしなくて済むので、賃貸で始めたい人には特に便利なんです。
たとえば「部屋バル」は、東京と大阪を中心に、転貸可能な物件を1,000件以上掲載しています。旅館業の許可が取れるかどうかでも絞り込めます。
2つ目は、一般の不動産サイトや不動産会社で、「民泊相談可」の物件を探す方法です。
民泊専用のサイトよりも物件の数が多く、エリアの選択肢が広がります。
ただし、「民泊相談可」は、大家さんが相談に応じるという意味にすぎません。民泊ができると決まったわけではないんです。管理規約や用途地域の条件は、別に確かめる必要があります。
3つ目は、空き家バンクで、地方の物件や古民家を探す方法です。
空き家バンクとは、自治体が地域の空き家の情報を集めて公開するしくみです。国が進める「全国版空き家・空き地バンク」では、全国の物件をまとめて検索できます。
地方の古民家や、一般の不動産サイトには出てこない安い物件が見つかることもあります。自治体によっては、空き家の改修に使える補助金を用意しているところもありますよ。
4つ目は、民泊の運営代行会社に相談する方法です。
運営代行会社は、日々の運営を通じて、どのエリアでどんな物件が稼働しているかを知っています。物件の紹介から、需要の見極め、届出、運営までまとめて相談できるのが強みです。
特に、はじめて民泊を始める人や、遠方の物件を探している人にとっては、現地の事情に詳しい相談相手がいると心強いはずです。
ここからは、私たちが運営する物件で、実際に稼働率に差が出た例を紹介します。2章で紹介した4つの条件が、現場でどう効いてくるのかがわかるはずです。
とある東京都の物件は、開業当初、稼働率が28%にとどまっていました。
周辺の物件の予約状況を調べると、エリアの需要は十分にありました。つまり、原因は運営の側にあったんです。そこで、次の3つを見直しました。
見直しから3か月で、月の稼働率は平均28%から62%に上がりました。
平日の料金を下げたため、1泊あたりの平均単価は12,000円から11,500円に下がっています。それでも予約が増えたことで、月の売上は約10万円から約21万円と、2倍を超えました。7泊以上の連泊も、月に1〜2件入るようになっています。
エリアに需要がある物件なら、運営の見直しだけで結果が大きく変わります。2-4で触れた「見せ方と価格」の差が、そのまま数字に表れた例です。
一方で、首都圏郊外の住宅地にある一戸建て(4LDK、定員8名)では、同じように価格や写真を見直しても、稼働率はほとんど上がりませんでした。見直しの前が15%、後が18%です。
最寄り駅からはバスで15分かかり、主な観光地までは電車で1時間以上かかります。周辺には民泊がほとんどなく、数少ない物件のカレンダーも空いたままでした。そもそも、この場所に泊まる目的を持ったゲストがいなかったんです。料金を下げても予約は増えず、売上はかえって減ってしまいました。
この物件の結果は、先述した「エリアに需要がないと、ほかの努力では取り返せない」ことを示しています。運営の工夫には限界があり、物件を選ぶ段階でしか解決できない問題もあるんです。
最後に、民泊の物件についてよく寄せられる質問にまとめて答えます。気になるものから読んでみてください。
一般的な賃貸契約では又貸しが禁止されているため、そのままでは民泊はできません。大家さんから転貸承諾書をもらう必要があります。
無断で民泊をすると、契約の違反として解約を求められることもあります。最初から転貸が認められた物件を選ぶほうが確実ですよ。
すぐには始められません。7-2で触れたとおり、「民泊相談可」は相談に応じるという意味にすぎないからです。
大家さんの正式な承諾に加えて、管理規約、用途地域、消防設備などの条件を1つずつ確かめる必要があります。
観光地へのアクセスがよい、または体験としての価値がある物件なら、予約は入ります。
眺望や古民家など、4-4で紹介した「ほかにない価値」があるかがポイントです。反対に、特徴のない地方の物件は、需要の見極めをより慎重にしてください。
年間で30〜50%が1つの目安です。
民泊新法の物件は、営業できる日が年180日までです。1年のうち約49%が上限になるため、ここに近づくほど効率よく稼げていると言えます。旅館業の許可を取った物件なら、日数の上限はありません。
予約の実績やレビューがある物件を引き継げるなら、立ち上げの時間を短くできます。
ただし、民泊新法の届出は、前のオーナーから引き継げません。新しいオーナーが届出をやり直す必要があります。予約サイトのアカウントやレビューを引き継げるかも、事前に確かめておきましょう。
必ず大丈夫とは言えません。新しい規制は新規の物件が中心ですが、既存の物件に及ぶ例もあります。
たとえば東京都豊島区は、すでに営業している物件にも営業日数の制限を適用すると決めました。規制の最新の動きは以下の記事で解説しています。
【2026年最新】民泊の規制とは?強化が進む地域の動向と今から始める人の対策
この記事のまとめ
備品や掲載ページにこだわっても、需要のない場所では稼働率は上がりません。反対に、需要があっても、適切な見せ方と価格がなければ予約は入らないんです。
楽々プランニングでは、エリアの需要の見極めから、該当物件の運営可否、届出、日々の運営までを一貫して支えています。物件の力と運営の力の両方を引き出し、利益を最大化するお手伝いをします。「この物件で民泊を始めて大丈夫か」と迷ったら、お気軽にご相談ください。