「民泊を始めたいけれど、最近は規制のニュースばかり…」と感じていませんか?
2026年は、民泊の規制が一気に強まった1年でした。5月に大阪市が特区民泊の新規受付を終えました。7月には、国が自治体による「ゼロ日規制」を認める通知を出しています。
私も運営代行の現場で、「今から始めても手遅れでは?」という相談を受けることが増えました。結論から言うと、地域と運営方法を選べば、まだ参入の余地はあります。
この記事でわかること
規制のニュースを読み解くには、土台になるルールを知っておくと話が早いんです。この章では、民泊に関わる3つの法律と、営業日数・委託・マンションの基本ルールを整理します。あなたが検討している物件はどれに当てはまるか、考えながら読んでみてください。
民泊は、3つの法律のどれかの手続きを踏んで営業します。
お金をもらって人を泊める営業は、本来は旅館業法の許可が必要です。許可も届出もなしに営業すると、違法民泊になります。合法に営業するには、次の3つのどれかを選びます。
| 住宅宿泊事業法(民泊新法) | 旅館業法(簡易宿所など) | 国家戦略特区法(特区民泊) | |
|---|---|---|---|
| 営業日数 | 年180日まで | 上限なし | 上限なし(1回の宿泊は2泊3日以上) |
| 手続き | 都道府県などへの届出 | 保健所への許可申請 | 自治体の認定 |
| 営業できる地域 | 住居専用地域でも可(条例で制限あり) | 住居専用地域では原則不可 | 国家戦略特区(国が指定した規制緩和の特区)の中で、条例を定めた自治体のみ |
たとえば、自宅の空き部屋を貸すなら民泊新法の届出が手軽です。一方で、年間を通して稼ぎたい投資物件なら、旅館業の許可が候補に入ります。どの法律を選ぶかで、売上の上限も初期費用も変わってくるんですよね。
民泊新法で営業できるのは、1年のうち180日までです。
民泊新法は、あくまで「住宅」を宿泊に使う制度です。ホテルや旅館と区別するために、日数に上限が設けられています。
数え方には独特のルールがあります。
金曜に泊まって日曜に帰るゲストなら、2日分のカウントです。180日を12か月でならすと、月15日ほどになります。売上の計画は、この日数を前提に組んでみてください。
家主がその物件に住んでいない「家主不在型」は、住宅宿泊管理業者への委託が義務です。
苦情や緊急時に、すぐ対応できる人を確保するためのルールです。家主が住んでいても、宿泊用の居室が5室を超える場合は委託が必要になります。
投資用に買った物件で民泊をするなら、ほぼ委託が前提なんです。委託先の選び方は「住宅宿泊管理業者とは|委託が義務になる条件と選び方を解説」でまとめています。
法律の条件を満たしていても、マンションの管理規約で禁止されていれば民泊はできません。
民泊新法の届出では、管理規約の写しなどを出して「規約で禁止されていないこと」を示す必要があります。規約に書いていなくても、管理組合が禁止の方針を決めていれば届出は通りません。
実際、国のマンション標準管理規約(管理規約のひな形)は2017年に改正され、民泊を認めるかどうかを明記する形になりました。購入や賃借の前に、まず規約を取り寄せて確かめるのが近道ですよ。
ここまでが、民泊の基本ルールです。次の章では、このルールがなぜ今になって厳しくなっているのかを見ていきます。
「なぜ急に厳しくなったの?」と疑問に思う方も多いはずです。この章では、規制強化の背景にある3つの理由を整理します。理由がわかると、今後どの地域が厳しくなるかも読みやすくなりますよ。
規制強化のいちばんの引き金は、近隣トラブルの増加です。
大阪市は、特区民泊の新規受付を終える理由として「ゴミや騒音などのトラブルの急増」を挙げました。住民からの苦情が積み重なると、自治体は規制で応えるしかなくなります。
深夜のスーツケースの音、分別されないゴミ、ベランダでの話し声などが典型です。どれも1件ずつは小さな問題なんですよね。それが同じ地域で何十件も続くと、「民泊そのものを減らしてほしい」という声に変わっていきます。
もう1つの理由は、住宅地から住民が減ることへの懸念です。
2026年7月の国の通知は、自治体が民泊を制限できる条件の1つに「定住人口や地域コミュニティの維持が難しくなるおそれ」を挙げています。
一戸建てやマンションが次々と宿泊施設に変わると、町内会の担い手や学校に通う子どもが減っていきます。観光地に近い住宅街ほど、この問題が表に出やすいんです。
国の民泊政策は、2026年に大きく向きを変えました。
2018年6月に始まった民泊新法は、増える訪日客の宿泊先を確保し、違法民泊を届出制で表に出す狙いがありました。当時の国は、自治体が民泊を過度に締め出さないよう求めていたんです。
ところが2026年の通知では、条件つきで営業日数を0日にすることまで認めました。「広げる」から「きちんと運営させる」への転換だと思いませんか?
では、この転換を受けて国と自治体が実際に何を決めたのか。次の章で具体的に見ていきます。
ここからは、2026年に決まった規制の中身を、国・大阪・京都・東京の順に整理します。自分の物件がある地域と照らし合わせながら読んでみてください。
2026年7月15日、厚生労働省・国土交通省・観光庁が、自治体に向けて民泊に関する通知を出しました。
中心となるのが「ゼロ日規制」です。条例で民泊の営業日数を0日にし、その地域での新規営業を事実上できなくする仕組みを指します。これまでは、ここまで強い制限は想定されていませんでした。
通知が制限を認める主な条件は、次のとおりです。
制限の方法としては、新規の禁止のほか、営業日を「土日・祝日の前日など」に絞る案も示されています。さらに、騒音計や出入口のカメラで見守り、過去1年分ほどのデータを保存するよう条例で義務付けることも例に挙がっているんです。
この内容は、今後の国のガイドラインにも反映される予定です。つまり、各地の条例改正はこれから本格化すると見ておくべきなんですよね。
大阪市は、2026年5月29日で特区民泊の新規受付を終了しました。
2025年9月に市が方針を決め、同年11月28日に内閣総理大臣の認定を受けています。新規の認定と、施設の変更に関する認定も同じ日で受付を終えました。
すでに認定を受けた施設は、これまでどおり営業できます。また、大阪府が担当する府内29市町村も、同じ時期に新規受付を止める方針を示しました。大阪で特区民泊を新たに始める道は、ほぼ閉ざされたと言えます。
京都市は、2026年8月31日の有識者会議で、住居専用地域などの営業日数の上限を0日にする素案を示しました。
京都市はもともと、住居専用地域での営業を1月15日から3月15日までの約60日に限るなど、全国でも厳しいルールを敷いてきました。今回の素案は、そこからさらに一歩踏み込んだ内容です。
施行の時期は、執筆時点ではまだ決まっていません。京都で物件を探している方は、条例案の審議状況を追いかけておいてください。
東京23区では、2026年に入って区ごとの条例改正が続いています。主な4区の内容は次のとおりです。
| 区 | 主な規制内容 | 開始時期 |
|---|---|---|
| 豊島区 | 営業を春・夏・冬休みの年120日に限定。区内の約7割で新設を禁止 | 2026年12月から本格施行 |
| 墨田区 | 管理者が常駐していない施設は、月曜正午から金曜正午までの営業を禁止 | 2026年4月 |
| 渋谷区 | 制限区域を大幅に広げ、営業できるのは実質年約63日に | 2026年7月 |
| 江戸川区 | 住居専用地域での新規開設を制限 | 2026年7月 |
同じ東京でも、区が1つ違うだけで営業できる日数が大きく変わるんです。一方で、大田区のように特区民泊で通年営業ができる区もあります。
物件がある地域の規制は、自治体のサイトと観光庁の条例一覧で確認できます。
国の法律に、自治体が独自の制限を加えるルールを「上乗せ条例」と呼びます。前の項目で見た23区の規制も、すべてこの上乗せ条例です。国の法律だけを見ていると、この部分を見落としてしまいます。
確認先は、次の3つです。
条例は2026年に入って頻繁に変わっています。ポータルサイトの一覧は、更新が追いついていないこともあります。最終的には、窓口に直接聞くのが確実ですよ。
ここで気になるのが、「もう営業している民泊はどうなるのか」という点ですよね。次の章で、既存の施設への影響を詳しく見ていきます。
「規制は新しく始める人だけの話でしょ?」と考えていませんか? 実は、そうとも言い切れないんです。この章では、既存の施設が規制の対象になるケースと、ならないケースを整理します。
多くの自治体では、新しい規制の対象を「新規」に絞っています。
すでに営業している施設まで一気に止めると、事業者の財産や生活への影響が大きすぎるためです。先ほどの大阪市も、認定済みの特区民泊は営業を続けられます。
ただし大阪市は、既存の施設に対して指導や取り締まりを強める体制を整えると説明しています。「営業できる」と「何もしなくてよい」は、別の話なんですよね。
一方で、既存の施設にも新しい規制をかける自治体が出てきました。
代表例が豊島区です。年120日への制限を、すでに営業している施設にも適用すると決め、区議会は全会一致で可決しました。約1年の猶予期間を置き、2026年12月から新しいルールを適用します。
これまで年180日で収支を組んでいた物件は、売上の上限が3分の2に減る計算です。家賃やローンの返済が変わらない以上、赤字に転落する物件が出てもおかしくありません。
国の通知も、既存の施設を制限する道を残しています。
条件は、すでに多くの民泊が営業していて、「現に静かな住環境が著しく損なわれている」など、強い必要性がある場合です。そのうえで、一定の猶予期間を設けることが求められています。
裏を返せば、苦情が多い地域ほど、既存の施設も規制の対象になりやすいということです。早く始めることに加えて、トラブルを出さない運営を続けることが、営業を続ける条件になっていくんです。
では、これから始める人はどう動けばいいのか。次の章で、参入のタイミングと始める前の注意点をお伝えします。
ここまで読んで、「結局、今から始めるのはありなの?」と感じた方もいるでしょう。この章では、早めに動くべき理由と、物件選びで外せないポイントをまとめます。
新規の禁止が決まると、その地域には後から参入できません。
先ほどの大阪市では、内閣総理大臣の認定から受付終了まで、約6か月しかありませんでした。京都市の素案も、施行されれば住居専用地域などでの新規開業の道が閉ざされます。
規制の方針が報道されてから受付が終わるまで、半年から1年ほどしかないのが実情なんです。検討中の地域があるなら、情報収集と物件探しを並行して進めてみてください。
規制が強まる地域には、たいてい前兆があります。
条例の改正は、突然決まるわけではありません。苦情の増加から、検討、住民への意見募集という段階を踏みます。次のサインが出ている地域は要注意です。
京都市も、有識者会議を開いてから素案を示しました。こうしたサインが出た地域で新規に始めるなら、規制の中身が固まるまで待つか、別の地域を選ぶほうが安全ですよ。
旅館業法の「簡易宿所」として許可を取れば、年180日の上限を受けずに営業できます。
簡易宿所は、旅館業法で決められた宿泊施設の区分の1つです。ゲストハウスや民泊向けの一戸建てで、よく使われています。民泊新法ではなく旅館業法に基づくため、民泊新法の営業日数の制限がかかりません。
ただし、ハードルは民泊新法より高くなります。
許可の取得費用は「民泊の許可・届出にかかる費用は?初期費用の内訳と節約方法を徹底解説」で詳しく紹介しています。
物件選びで最初に見るべきなのは、用途地域と管理規約の2つです。
用途地域とは、都市計画で決められた土地の使い方の区分です。全部で13種類あり、自治体の都市計画図で確認できます。このうち、第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域は、簡易宿所の許可が原則として取れません。上乗せ条例でも、真っ先に制限される地域なんです。
管理規約の確認方法は1-4で触れたとおりです。この2つを確かめる前に売買契約や賃貸契約を結んでしまうと、「買ったのに営業できない」という事態になりかねません。
地域と物件を選んだら、次に問われるのは運営の中身です。最後の章では、規制の原因になるトラブルを、実例と対策で紹介します。
2章で触れたとおり、規制強化の引き金は近隣トラブルでした。この章では、私たちが実際に対応したゴミのトラブルと、その防ぎ方を紹介します。あなたの物件でも起こりうる話として読んでみてください。
恵比寿のマンションで運営していた民泊で、ゴミのトラブルが起きました。
内容は、次のようなものでした。
何より厄介なのは、近隣からの見え方です。住民にとっては「どのゲストが捨てたか」ではなく、「あの民泊のゴミ」なんです。1人のゲストの行動が、物件全体の評判として積み重なっていきます。
このトラブルを受けて、私たちは「ゲストにゴミを出してもらう」前提そのものを見直しました。
注意書きを増やしても、日本の細かい分別ルールを海外のゲストに守ってもらうのは現実的ではありません。そこで、物件の状況に合わせて次の対策を組み合わせています。
ゲストへの案内は「ゴミは部屋に置いてください。こちらで回収します」の一言だけです。ルールを覚えてもらうより、守る必要がない形にしたほうがトラブルは減るんですよね。【要追記:対策後の苦情の変化】
騒音計やカメラによる見守りは、今後、条例で義務になる可能性があります。
先述した通り、国の通知はICT(情報通信技術)を使った管理を条例で求める例を示しました。騒音計なら、音が基準を超えた時点で管理者に通知が届きます。そのためゲストへの注意が、住民から苦情が来る前に間に合うんです。
設置すれば、記録が残ることもメリットです。苦情が入ったときに、実際の音量や出入りの状況を示せます。義務化されてから慌てて導入するより、今のうちに備えておくと、規制への対応もトラブル防止も一度に進められますよ。
最後に、民泊の規制についてよく寄せられる質問にお答えします。
ここでは、Q&Aサイトや相談の現場でよく聞かれる質問を8つ取り上げます。気になる項目から読んでみてください。
民泊新法の範囲を超えるため、旅館業の許可を取らずに営業したのと同じ扱いになります。業務停止命令などの行政処分を受けるおそれがあります。
民泊新法では、2か月ごとに宿泊日数を自治体へ報告する義務があります。宿泊者からの通報や、自治体の抜き打ちの調査で発覚するケースもあるんです。罰則はQ8で説明します。
主な方法は2つあります。1つは、5-3で紹介した旅館業の許可(簡易宿所)への切り替えです。
もう1つは、マンスリーマンションとの併用です。30日以上の賃貸借契約で貸す場合は宿泊営業に当たらないため、民泊の営業日数には数えません。民泊として使えない期間を、月単位の賃貸で埋める方法ですよ。
大家さんから転貸(又貸し)の承諾を得られれば、可能です。民泊新法の届出でも、承諾を示す書類が求められます。
承諾なしで営業すると、賃貸借契約の違反になり、契約を解除されるおそれがあります。承諾は、必ず書面でもらっておいてください。
完全に禁止されるわけではありません。ただ、学校の周辺では平日の営業を制限する条例が多く見られます。
子どもの通学時間帯に、見知らぬ人が出入りすることを避けるためです。周辺100mなど、制限の範囲は自治体ごとに決められています。
制度そのものは残ります。ゼロ日規制ができるのは、3-1で挙げた条件に当てはまる地域だけです。
観光地や商業地など、民泊を受け入れる地域は今後も残ります。「どこで始めるか」の見極めが、これまで以上に問われるということなんです。
大阪市では、認定済みの施設は営業を続けられます。
ただし、4-3で紹介したように、国は既存の施設を制限する道も残しています。トラブルが増えれば、ルールが見直される可能性はゼロではありません。
家主居住型は、上乗せ条例の対象から外されている例が多く見られます。京都市も、家主居住型を住居専用地域の期間制限の対象外にしてきました。
家主が同じ建物にいれば、トラブルにすぐ対応できると考えられているためです。ただし扱いは条例によるので、物件がある地域の条例を確かめてください。
届出も許可もなく営業すると、旅館業法の無許可営業に当たります。罰則は、6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。両方を科されることもあります。
「知らなかった」では済まないため、始める前に、どの法律で営業するかを必ず決めておきましょう。
この記事のまとめ
民泊の規制は、2026年に入って地域ごとの差が一気に広がりました。今は、始める場所と運営のやり方しだいで、営業を続けられるかどうかが分かれる時期なんです。
楽々プランニングでは、物件がある地域の規制の調査から、物件選び、日々の運営までをまとめて支援しています。ゴミや騒音への対策も、実際に起きたトラブルをもとに物件ごとに提案します。「この物件で民泊はできるのか」と迷ったら、まずはお気軽にご相談ください。