「ハウスルールは、とりあえず禁煙とゴミのことだけ書いておけばいい」と思っていませんか?
実は、ハウスルールがあいまいなままだと、トラブルが起きても追加料金を請求できないことがあります。ゲストが部屋を汚しても、「そんなルールは聞いていない」と言われればそれまでなんです。
私も運営代行の現場で、たった1行のルールがなかったために、清掃費を自腹で負担したことがあります。ハウスルールは、オーナーを守る「契約書」の役割も果たしているんですよね。
この記事でわかること
まずは、ハウスルールとは何か、ハウスマニュアルとどう違うのかを整理します。「どちらも同じでは?」と感じている方も、ここで役割の違いを押さえておくと、作るべきものがはっきりしますよ。
ハウスルールとは、ゲストが滞在中に守るべき約束事を一覧にしたものです。
民泊は、ゲストが自分の家のように自由に過ごせる宿泊施設です。そのぶん、ホテルのようにスタッフが常駐して注意できる環境ではありません。守ってほしいことは、あらかじめ文章で伝えておく必要があるんです。
たとえば「室内禁煙」「22時以降は静かに」「予約人数以外の立ち入り禁止」などが代表的な項目です。ここに書いたことが、ゲストとオーナーの間の約束になります。
ハウスルールとよく混同されるのが、ハウスマニュアルです。2つは、役割がはっきり違います。
ハウスルールは「守ってほしいこと」、ハウスマニュアルは「知っておくと便利なこと」をまとめたものです。
| ハウスルール | ハウスマニュアル | |
|---|---|---|
| 役割 | 守ってほしい約束事 | 滞在を快適にする情報 |
| 主な内容 | 禁煙、静かにする時間、人数、ゴミの扱い | Wi-Fi、家電の使い方、周辺のお店、交通 |
| 違反したとき | 追加料金の請求の根拠になる | 違反という考え方はない |
2つを1冊にまとめても構いません。ただ、ルールの部分は冒頭にまとめて、目立たせておくのがおすすめですよ。
ハウスルールは、予約サイトの設定欄と室内の掲示の両方に載せます。
予約サイトの欄に書いておくと、ゲストは予約の時点でルールに同意したことになります。Airbnbでは、ゲストはハウスルールへの同意を前提に予約を確定するしくみです。この同意が、違反があったときに請求する根拠になります。
Airbnbのハウスルールの欄には、ペットやイベントの可否、喫煙、静かにする時間などを選ぶ項目と、自由に書ける「追加ルール」の欄があります。室内にだけ貼っていたルールは、予約時に同意を得ていないため、請求の場面で弱くなってしまうんです。
ここまでが、ハウスルールの基本です。次の章では、法律で説明が義務になっている項目を見ていきます。
ハウスルールは、オーナーが自由に決めてよいものだと思っていませんか? 実は、民泊新法(住宅宿泊事業法)で営業する場合、ゲストに必ず説明しなければならない項目があるんです。
民泊新法で営業するオーナーは、騒音・ゴミ・火災の3つについて、ゲストに説明しなければなりません。
住宅宿泊事業法の第9条で、周辺の生活環境に悪い影響が出ないよう、必要な事項を宿泊者に説明することが義務付けられています。国のガイドライン(法律の運用の考え方を示した国の指針)は、説明する内容の例を次のように挙げています。
| 項目 | ガイドラインが示す説明の例 |
|---|---|
| 騒音 | 大声での会話を控える、深夜は窓を閉める |
| ゴミ | 市町村の分別方法に沿って捨てる |
| 火災 | ガスコンロの元栓の開け閉め、消火器の使い方 |
つまり、この3つが抜けたハウスルールは、法律の面でも不十分ということです。4章のテンプレートには、3つとも入れてあります。
外国人のゲストへの説明は、予約の時点で示した言語で行います。
ガイドラインでは、ここでいう「外国語」を「宿泊予約の時点で、日本語以外の言語として提示したもの」としています。予約サイトの物件ページを英語でも表示しているなら、英語での説明が必要です。
英語、中国語、韓国語の3言語で物件を紹介しているなら、ハウスルールも3言語でそろえることになります。日本語版だけ作って安心しているケースは意外と多いので、自分の物件ページの言語設定を見てみてください。
説明の方法は、書面を室内に置くか、タブレットに表示するなど、ゲストが滞在中いつでも確かめられる形にします。
ガイドラインは「書面の備え付けその他の適切な方法」と定めています。チェックインのときに口頭で一度伝えるだけでは、条件を満たしません。
私たちが管理する物件では、リビングのテーブルに紙のハウスルールを置き、同じ内容をQRコードから開けるようにしています。紙はすぐ目に入り、スマートフォンなら翻訳機能も使えるので、両方あると安心なんですよね。
法律で必要な項目がわかったところで、次の章では、ハウスルール全体に入れるべき項目を一覧にします。
では、ハウスルールには具体的に何を書けばいいのか。この章では、どの物件にも必要な項目、安全に関わる項目、物件に合わせて加える項目の順に紹介します。あなたの物件に足りない項目がないか、照らし合わせながら読んでみてください。
どの物件にも必ず入れたいのは、次の6項目です。
トラブルの多くは、この6つのどれかから始まります。騒音やゴミは、先ほどの説明義務の項目とも重なります。
| 項目 | 書く内容の例 |
|---|---|
| チェックイン・チェックアウト | 16時以降にチェックイン、10時までにチェックアウト |
| 宿泊人数と来客 | 予約人数を超えての宿泊と、予約者以外の立ち入りは禁止 |
| 室内禁煙 | ベランダを含む敷地内すべてで禁煙 |
| 静かにする時間 | 22時〜8時は静かに過ごす |
| ゴミの扱い | ゴミは室内に置き、外に出さない |
| パーティーの禁止 | パーティーやイベントでの利用は禁止 |
ゴミは、ゲストに外へ出させず、清掃時に回収する運用をおすすめしています。詳しくは「民泊のゴミは家庭ごみで出せない|正しい処理方法とトラブルを防ぐ運営のコツ」で解説しています。
基本の6項目に加えて、安全と設備に関する項目も入れておきます。
火事や鍵の紛失は、起きてからでは対応が間に合わないことが多いからです。ゲストが迷わず動けるよう、手順まで書いておくと安心です。
緊急時の連絡先は、24時間つながる番号にしてください。夜中に連絡がつかないと、ゲストが近隣の家に助けを求めてしまうこともあるんです。
基本の項目のほかに、物件の設備や過去のトラブルに合わせて、項目を加えていきます。
どんな使われ方で損害が出るかは、物件ごとに違います。同じテンプレートのままでは、防げないトラブルがあるんですよね。
毛染めは、見落とされやすい項目の代表です。私たちも実際にトラブルを経験してから加えました。その経緯は後述します。
ハウスルールには、違反したときの追加料金も金額で書いておきます。
金額が書いてあれば、ゲストは予約の時点でその条件に同意したことになります。請求の根拠がはっきりするうえ、「これだけかかるなら守ろう」という抑止力にもなります。
実際に、ある宿泊施設は利用規約で、浴室での毛染めに22,000円、喫煙に110,000円の特別清掃料を定めています。金額は、実際にかかる清掃や修繕の費用をもとに決めてみてください。
項目がそろったら、いよいよテンプレートです。次の章で、そのまま使える完成版を紹介します。
ここからは、そのまま使えるハウスルールのテンプレートを紹介します。【 】の部分を物件に合わせて書き換えれば、すぐに使えますよ。
日本語版は、3章の項目と、2章の説明義務の3項目をすべて入れた完成版です。
予約サイトの「追加ルール」の欄と、室内に置く書面の両方に、この内容を載せてください。
ハウスルール
ご滞在いただきありがとうございます。近隣には住宅があります。快適にお過ごしいただくため、次のルールをお守りください。
チェックイン・チェックアウト
宿泊人数と来客
騒音
ゴミ
火災の防止
禁止事項
違反した場合の費用
緊急時の連絡先
英語版は、日本語版と同じ内容を、短い命令形でまとめたものです。
長い丁寧な文章よりも、短い文のほうが海外のゲストには伝わりやすくなります。翻訳アプリを使うゲストにとっても、短い文のほうが誤訳が起きにくいんです。
House Rules
Thank you for staying with us. This is a residential area. Please follow these rules.
Check-in / Check-out
Guests
Noise
Trash
Fire Safety
Not Allowed
Fees for Rule Violations
Emergency Contact
中国語と韓国語のハウスルールは、翻訳ツールで作り、その言語を話す人に確認してもらいます。
翻訳ツールの精度は上がっていますが、禁止事項の言い回しが強すぎたり、逆に弱すぎたりすることがあります。ルールの文章は、ニュアンスのずれがそのまま誤解につながるんですよね。
手順は、次の3ステップです。
中国語は、簡体字(中国本土で使う字)と繁体字(台湾・香港で使う字)で表記が違います。予約の多い国・地域に合わせて選んでください。
テンプレートができたら、次はゲストに読んでもらう工夫です。
どれほどしっかりしたルールでも、読まれなければ意味がありません。この章では、ゲストが実際に目を通し、守ってくれるハウスルールの書き方を3つ紹介します。
ハウスルールは、1項目を1文で書き、禁止する理由を一言添えます。
理由がわかると、ゲストはルールを「押しつけ」ではなく「配慮」として受け取ってくれます。理由がないルールは、「なぜだめなのか」と軽く見られがちなんです。
たとえば、「22時以降は静かに」だけではなく、「近隣に住宅があるため、22時以降はお静かに」と書きます。4-1のテンプレートも、冒頭で「近隣には住宅があります」と理由を伝える形にしています。
禁止事項は、文字だけでなく、イラストやアイコンでも示します。
海外のゲストの中には、日本語も英語も読めない人がいます。タバコに斜線を引いたマークや、靴に斜線を引いたマークなら、言葉がわからなくても一目で伝わります。
私たちは、禁煙・土足禁止・パーティー禁止の3つを、アイコンつきのカードにして玄関とリビングに貼っています。文章を読まないゲストでも、ドアを開けた瞬間に目に入る場所を選ぶのがコツですよ。
ハウスルールは、予約確定のとき、チェックインの前日、到着したときの3回伝えます。
1回だけでは、ゲストは読み飛ばしてしまいます。タイミングを変えて繰り返し伝えることで、「何度も書いてあるから大事なルールなんだ」と印象に残ります。
| タイミング | 伝え方 |
|---|---|
| 予約確定のとき | 予約サイトのメッセージで、ハウスルールの全文を送る |
| チェックインの前日 | チェックイン案内のメッセージで、特に大事な3項目を再度伝える |
| 到着したとき | 室内の書面とアイコンのカードで伝える |
チェックイン案内の作り方は「民泊でゲストが隣の家に行ってしまうのはなぜ?迷わせないチェックイン案内の作り方」で紹介しています。
では、ルールがなかったことで実際に何が起きたのか。次の章で、私たちが経験した実例を紹介します。
ここからは、私たちが管理する横須賀の物件で実際に起きたトラブルを紹介します。「毛染めなんて、うちのゲストはしないだろう」と思っている方にこそ、読んでほしい話なんです。
横須賀の物件で、ゲストが室内で毛染めをし、浴室や洗面台に染料が付いたままになったことがありました。【要追記:発生時期、物件の概要(戸建てかマンションか、部屋の広さ)】
清掃スタッフが入ると、浴室の床や目地、洗面台に、濃い色のしみが残っていました。タオルや寝具にも染料が付いていたんです。【要追記:汚れた場所を具体的に(浴室・洗面台・床・タオル・寝具のうちどこか)】
いつもの洗剤でこすっても、しみはほとんど薄くなりませんでした。次のゲストのチェックインまでの数時間で、元に戻すのは難しい状況だったんです。
ゲストに悪気はありませんでした。「お風呂で流せば大丈夫」と考えて、浴室で毛染めをしたのだと思います。
ところが、毛染めの染料は、浴室の目地や樹脂製の洗面台に一度付くと、簡単には落ちません。時間がたつほど、素材の奥までしみ込んでいきます。自宅なら気にならない程度の汚れでも、次のゲストを迎える宿泊施設では見過ごせないんですよね。
このときは、通常の清掃に加えて、染料を落とすための特別な清掃が必要になりました。汚れたタオルや寝具も、買い替えることになりました。【要追記:特別清掃や原状回復(元の状態に戻す作業)の内容、かかった時間と費用】
このトラブルを受けて、私たちはハウスルールに「室内での毛染め禁止」を加えました。
当時のハウスルールには、毛染めについての記載がありませんでした。そのため、ゲストに費用を請求する根拠も弱かったんです。3-4で触れたように、ルールと金額を事前に示しておけば、損害を防ぐ抑止力にも、請求の根拠にもなります。
現在は、先述のテンプレートのとおり、禁止事項と違反時の費用の両方に毛染めを入れています。たった1行の追加が、数万円単位の損害を防いでくれるんです。
トラブルは、どれだけ備えても起きるときは起きます。次の章では、違反が起きたときの対処法を見ていきます。
ハウスルールを整えても、違反が起きてしまうことはあります。そんなとき、慌てずに動けるかどうかで、損害を取り戻せるかが変わるんです。この章では、違反が起きたときの手順を3つ紹介します。
違反に気づいたら、まず現場の写真を撮り、予約サイトのメッセージ機能でゲストに事実を伝えます。
写真とメッセージの記録は、あとで請求するときの証拠になります。電話や口頭でのやり取りは記録に残らないため、トラブルになったときに「言った・言わない」の争いになりかねません。
写真は、汚れや破損の全体と近くの両方を撮ってください。清掃の業者の見積書や、修理の領収書も、あとから添付できるように保管しておきます。
Airbnbで予約を受けた場合は、決められた期限までに請求の手続きを進めます。
2026年版のAirbnbのホスト損害保証(ゲストが部屋を壊したときなどに、ホストの損害を補償するしくみ)の規約では、期限が次のように定められています。
期限を1日でも過ぎると、補償を受けられなくなるおそれがあります。清掃のスタッフが汚れに気づいたら、その日のうちにオーナーへ報告が届く流れをつくっておいてください。Airbnb以外の予約サイトは、それぞれの規約で手続きと期限が違います。
パーティーや人数の大幅な超過など、近隣に迷惑が及ぶ違反は、その場で予約サイトのサポートに連絡します。
こうした違反は、滞在が終わってから請求しても、近隣との関係は元に戻りません。騒ぎが続けば、自治体への苦情や、民泊の規制の強化にもつながってしまいます。
Airbnbは、2022年から迷惑なパーティーを全面的に禁止しています。重大な違反があれば、サポートに相談のうえ予約をキャンセルできる場合があります。ゲストと直接もめる前に、まずはサポートの判断を仰いでみてください。
最後に、ハウスルールについてよく寄せられる質問にまとめて答えます。気になるものから読んでみてください。
予約人数以外の立ち入りは、事前の許可制にするのが一般的です。
「友人と部屋で少し話したい」という相談は、実際によくあります。一律に断るか、「日中のみ、事前に連絡があれば可」とするかを決めて、ハウスルールに書いておくと迷わずに済みますよ。
人数、時間、音量を具体的に書くと、ゲストが判断に迷いません。
「パーティー」の感覚は、国や人によって違います。「予約人数以外の人を呼んでの飲食や集まりは禁止」「22時以降は音楽を流さない」のように、具体的な行動で書くのがおすすめです。
請求できるのは、実際にかかった清掃や修繕の費用が基本です。
ハウスルールに金額を書いておけば、請求の根拠になります。ただし、実際の損害と比べて高すぎる金額は、消費者契約法(事業者と消費者の契約のルールを定めた法律)によって無効とされる可能性があります。業者の見積もりなど、根拠のある金額にしておきましょう。
ハウスルールで定めた追加料金を、予約サイトを通じて請求します。
Airbnbなら、解決センターから追加料金の支払いを求められます。人数の超過は消防上の安全にも関わるため、あわせて予約サイトにも報告しておきましょう。防犯カメラ(玄関の外側など、共用部分に設置したもの)の記録があると、人数の確認に役立ちます。
紙とタブレットの両方を用意すると確実です。
紙は、置いておくだけで自然と目に入ります。タブレットやQRコードは、ゲストのスマートフォンで翻訳できるのが強みです。どちらか一方が故障したり、なくなったりしたときの備えにもなりますよ。
トラブルが起きたときと、季節の変わり目が見直しのタイミングです。
新しいトラブルは、ルールに足りない項目があるサインです。また、夏は花火やバーベキュー、冬は暖房器具など、季節によって注意すべき点が変わります。年に2〜4回は見直す機会をつくってみてください。
この記事のまとめ
ハウスルールは、一度作って終わりではありません。実際のトラブルを経験するたびに、1行ずつ育てていくものなんです。
楽々プランニングでは、運営の現場で実際に起きたトラブルをもとに、物件ごとのハウスルールを作成しています。多言語での作成やゲスト対応も、まとめてお任せいただけます。「今のハウスルールで大丈夫か不安」という方は、お気軽にご相談ください。