「民泊のゴミは、近くのゴミ置き場に出せばいいんでしょ?」と思っていませんか? 実はそれ、違反なんです。
民泊から出るゴミは、家庭ごみではなく「事業系ごみ」として扱われます。自宅の空き部屋で営業する場合でも、この扱いは変わりません。
私自身、運営代行の現場でゴミのトラブルに何度も向き合ってきました。ゴミの問題は、近隣との関係を一気に悪くする原因にもなるんですよね。
この記事でわかること
まずは、民泊のゴミが法律上どう扱われるのかを整理します。ここを押さえておかないと、知らないうちに違反してしまうかもしれません。あなたの物件では今、ゴミをどう出していますか?
民泊のゴミは、家庭ごみの集積所には出せません。
民泊は、宿泊料を受け取る事業です。事業活動から出るゴミは「事業系ごみ」に分類され、出した事業者が自分の責任で処理する決まりになっています。家庭ごみの集積所は住民の税金で運営されているため、事業のゴミは使えないんです。
名古屋市は、公式サイトで「少量であっても、家庭ごみとして市の収集に出すことはできません」と明記しています。ゲストが1泊で出したゴミ袋1つでも、扱いは同じです。「量が少ないから大丈夫」という考え方は通用しないんですよね。
事業系ごみは、さらに「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の2つに分かれます。
同じ事業系ごみでも、中身によって処理のルールと任せられる業者が変わるためです。産業廃棄物は、専用の許可(産業廃棄物収集運搬業の許可)を持つ業者にしか任せられません。
大阪市の分け方は、次のとおりです。
コンビニ弁当の容器やペットボトルは、ゲストのゴミの定番ですよね。これらが産業廃棄物になる地域では、一般廃棄物の業者だけと契約しても処理しきれないんです。
ゴミが少ない場合に限り、有料の処理券を貼って自治体の収集に出せる地域もあります。
小規模な事業者にまで業者との契約を求めると、負担が重すぎるからです。そのため、一定量までは自治体の収集を使える仕組みが設けられています。
品川区では、1日平均40kg未満なら、有料ごみ処理券(コンビニなどで買える、事業系ごみ用のシール)を貼って区の収集に出せます。分別の方法は家庭ごみと同じです。ただし、名古屋市のように一切認めない自治体もあるため、物件がある地域の清掃担当に確かめてみてください。
事業系ごみを家庭ごみの集積所や他人の敷地に捨てると、不法投棄(決められた場所以外にゴミを捨てること)として罰則の対象になります。
廃棄物処理法の罰則は重く、次のように定められています。
実際に、2017年には京都市で、民泊運営会社の社員が逮捕されました。運営する宿泊施設から出たワインの空き瓶や段ボール、約6.9kgを、別のマンションのゴミ置き場に捨てた事件です。わずか7kgほどのゴミでも逮捕に至ったことは、覚えておいて損はありません。
ゴミの扱いがわかったところで、次の章では具体的な処理方法を3つ紹介します。
では、事業系ごみは実際にどう処理すればいいのか。この章では3つの方法を紹介し、費用と手間を比べます。あなたの物件の規模に合うのはどれか、考えながら読んでみてください。
最も一般的なのが、許可業者(自治体から廃棄物の収集運搬の許可を受けた業者)に回収を任せる方法です。
契約した曜日に、決めた保管場所まで取りに来てくれます。ゴミを自分で運ぶ必要がないため、複数の物件を持つオーナーや、遠方に住むオーナーに向いています。
たとえば週2回の回収で契約すれば、清掃のたびに保管場所へゴミを移すだけで済みます。費用は量と回収の頻度で決まり、ほとんどが月額の契約です。
自治体の清掃工場などに、自分でゴミを持ち込む方法もあります。
業者の収集運搬費がかからないため、処分の手数料だけで済むのが利点です。排出した事業者が自分で運ぶ場合は、収集運搬業の許可はいりません。
一方で、車と人手が必要になります。受け付けは平日の日中だけという施設も多く、予約が続く物件だと、そのたびに運ぶのは現実的ではないんですよね。年に数回しか稼働しない物件なら選択肢に入ります。
運営代行会社や清掃会社に、清掃とゴミの処理をまとめて任せる方法もあります。
清掃のたびにゴミを回収してもらえるため、オーナーが手を動かす場面はほぼありません。保管場所の管理や業者とのやり取りも、任せた先が引き受けてくれます。
ただし、委託先がゴミをどう処理しているかは必ず確かめてください。委託先自身が許可を持っているか、許可業者と契約しているかがポイントです。許可のない会社が持ち帰って処理している場合、オーナー側も責任を問われかねません。
3つの方法を比べると、次のようになります。
| 方法 | 費用 | オーナーの手間 | 確実さ |
|---|---|---|---|
| 許可業者に回収を任せる | 月額の契約(量と頻度で決まる) | 保管場所へ移すだけ | 高い |
| 自治体の処理施設に持ち込む | 処分の手数料のみで安い | 車での運搬が必要 | 自分しだい |
| 運営代行・清掃会社に一括で任せる | 代行費用に含まれることが多い | ほぼなし | 委託先しだい |
処分の手数料の目安は、東京23区が1kgあたり46円、大阪市が27円です(自治体が定める料金の上限)。45Lのゴミ袋1つを約9kgとすると、東京23区で1袋400円ほどになります。稼働率が高い物件ほど、手間のかからない業者委託か一括委託が向いていると思いませんか?
方法が決まったら、次は業者選びです。次の章で、失敗しない選び方を見ていきます。
許可業者はどこで探して、何を確かめればいいのか。この章では、探し方から契約後の段取りまでを3つのステップで紹介します。
許可業者は、自治体が公開している名簿から探すのが確実です。
名簿に載っている業者は、自治体の許可を受けています。許可のない業者に任せて不法投棄が起きると、ゴミを出したオーナー側も責任を問われるおそれがあるんです。
多くの自治体は、公式サイトの「事業系ごみ」のページに名簿を載せています。東京都には「東京廃棄物コネクト」という、許可業者を探せるマッチングサイトもあります。産業廃棄物が出る地域では、産業廃棄物の許可も持っているかを名簿で見ておきましょう。
見積もりを取るときは、金額だけでなく、回収の頻度と追加料金の条件を確かめてください。
民泊のゴミの量は、予約の入り方で大きく変わります。平日と連休、閑散期と繁忙期では、2倍以上の差が出ることも珍しくありません。
確認しておきたい項目は、次の4つです。
私の経験では、ゴールデンウィークや年末年始にゴミがあふれるケースが多いです。繁忙期の対応まで見積もりの段階で詰めておくと、あとで慌てずに済みますよ。
業者と契約したら、ゴミの保管場所と回収日を、管理組合や近隣の住民に伝えておきます。
事前に知らせておけば、「見慣れないゴミが置いてある」という誤解を防げます。名古屋市も、ゴミの出し方と保管場所を近隣に事前に知らせるよう求めています。
マンションなら管理組合、一戸建てなら両隣と向かいの家が目安です。回収業者の名前と、オーナーの連絡先を添えておくと、何かあったときに直接連絡をもらえます。
ルールどおりに処理していても、ゴミのトラブルは起きてしまいます。次の章では、その理由を見ていきましょう。
業者と契約したのに、なぜかゴミの苦情が来る。そんな経験はありませんか? この章では、民泊でゴミのトラブルが起きやすい4つの理由を整理します。
ゴミのトラブルの多くは、分別ルールが伝わらないことから始まります。
日本のように、燃えるゴミ・プラスチック・缶・ビン・ペットボトルと細かく分ける国は多くありません。「全部1つの袋に入れて出す」のが当たり前の国から来たゲストにとって、日本の分別はかなり難しいんです。
案内に「燃えるゴミ」と書いても、何が燃えるゴミに当たるのかは伝わりません。さらに、分別のルールは市区町村ごとに違います。旅行者に理解してもらうのは、そもそも無理があるんですよね。
ゴミの回収日とチェックアウトの日がずれることも、トラブルの原因になります。
家庭ごみの回収は、多くの地域で週2〜3回です。回収日の前日にチェックアウトするゲストは、ゴミの出しどころに困ってしまいます。
よくあるのが、「部屋に置いていくのは失礼だ」と気を遣ったゲストが、近くの集積所に出してしまうケースです。親切心からの行動が、近隣から見れば「回収日を守らない民泊」になってしまいます。
ゴミのトラブルは、1回きりで終わりません。物件全体の評判として積み重なっていきます。
近隣の住民には、どのゲストが捨てたのかはわかりません。見えるのは「民泊の部屋から出たゴミ」という事実だけです。
ゲストは毎回入れ替わっても、物件は同じ場所に残ります。3組のゲストが1回ずつ失敗すれば、住民にとっては「あの民泊で3回もトラブルがあった」という記憶になるんです。
ゴミの苦情が積み重なると、行政処分や地域全体の規制強化につながります。
観光庁は2026年10月から、京都市・新宿区・墨田区で、夜間の苦情を受け付ける窓口を試行します。これまで昼間だけだった受け付けを24時間に広げ、集まった苦情をもとに、自治体が対応の不十分な業者に行政処分を行える体制をつくる狙いです。
大阪市が特区民泊の新規受付を終えた理由にも、「ゴミや騒音などのトラブルの急増」が挙がっていました。1つの物件のゴミの問題が、地域全体の民泊を締め出す流れにつながっているんです。規制の動きは「【2026年最新】民泊の規制とは?強化が進む地域の動向と今から始める人の対策」で詳しく解説しています。
実際にゴミのトラブルはどう起きて、どう解決したのか。次の章では、私たちが対応した実例を紹介します。
ここからは、私たちが実際に運営していた物件で起きたトラブルを紹介します。「うちは大丈夫」と思っている方にこそ、読んでほしい話なんです。
恵比寿のマンションで運営していた民泊で、ゲストが分別しないまま、共用のゴミ置き場にゴミを捨てるトラブルが起きました。
ゲストは、日本のゴミ置き場のルールを知りませんでした。燃えるゴミもペットボトルも、1つの袋にまとめて捨てられていたんです。回収日も守られず、収集が終わった直後の曜日にゴミが置かれていることもありました。
別の日には、ゴミ置き場のゴミ箱が開けられず、ゲストがゴミ袋をそのまま外に置いていったこともありました。
マンションのゴミ箱には、カラスよけのふたやロックが付いていることがよくあります。開け方がわからなかったゲストは、「ここに置いておけば回収してもらえる」と考えたようです。
ゲスト本人に悪気はありません。それでも、翌朝ゴミ置き場の前に袋が転がっていれば、住民にとっては迷惑行為そのものなんですよね。
このトラブルを通じてわかったのは、注意書きを増やすだけでは防げないということです。
ゲストの多くは、滞在中に長い案内を読みません。読んだとしても、「燃えるゴミ」「資源ごみ」という区分の意味まではわかりません。多言語の案内を用意しても、理解できる内容でなければ効果は限られます。
そこで私たちは、「ゲストにルールを守ってもらう」という前提そのものを見直しました。その方法を、次の章で紹介します。
分別ルールを覚えてもらうのが難しいなら、そもそもゲストにゴミを出させなければいい。この章では、私たちが実際に行っている運用を具体的に紹介します。あなたの物件にも、そのまま取り入れられるはずですよ。
いちばん効果があったのは、ゲストにはゴミを室内に置いてもらい、運営側で回収する運用です。
ゲストがゴミを部屋の外に持ち出さなければ、集積所への誤った排出はそもそも起きません。分別の知識も、回収日の把握も必要なくなります。
この方法は、自治体の方針とも一致しています。新宿区は民泊事業者に「宿泊者にごみを排出させないこと」を求めています。大阪市も、宿泊者は居室からゴミを持ち出さず、事業者が指定した場所に置くよう定めています。ルールの面でも、最も確実な運用なんです。
ゲストへの案内は、長い説明ではなく一言で伝わる形にします。
ゲストに求める行動が「部屋に置いておく」の1つだけなので、案内も短くできます。短いほど読まれやすく、誤解も起きにくくなります。
私たちが使っている案内文は、次のとおりです。
この文を、ゴミ箱の近くと玄関のドアの内側に貼っています。「外に出さなくていい」と伝わるだけで、ゲストの迷いがなくなるんですよね。
室内に置かれたゴミは、清掃スタッフが清掃のたびに回収し、業者の回収日まで保管場所で預かります。
清掃と回収を同じタイミングにすれば、ゴミが室内に何日も残りません。保管場所を1か所に決めておけば、業者もそこから回収するだけで済みます。
保管場所には、鍵付きのゴミストッカー(屋外に置く、ふた付きの大型の保管箱)が便利です。夏場の生ごみは、次の工夫でにおいを抑えています。
ゲストが使える場所にゴミ置き場があるなら、鍵と防犯カメラを付けておきます。
鍵がかかっていれば、ゲストが勝手に捨てることは物理的にできません。防犯カメラがあれば、トラブルが起きたときに、誰がいつ捨てたかを確かめられます。
実際に、苦情が入ったときに映像を確認したら、民泊のゲストではなく通りがかりの人の投棄だったというケースもあります。記録があれば、根拠を示して説明できるんです。
同じ「出させない」運用でも、マンションと一戸建てでは押さえるポイントが変わります。
マンションでは、共用のゴミ置き場は住民のものです。事業系ごみを置くには、管理組合の了承が欠かせません。一方、一戸建てなら敷地内に専用の保管場所をつくれますが、道路から見える位置だとゴミの印象が悪くなります。
| 物件のタイプ | 押さえるポイント |
|---|---|
| マンション | 共用ゴミ置き場を使わない、または管理組合と保管場所・回収日を取り決める |
| 一戸建て | 敷地内に鍵付きのストッカーを置き、道路から見えにくい位置を選ぶ |
物件のタイプに合わせて運用を変えれば、ゴミの苦情は大きく減らせますよ。
最後に、室内のゴミ箱と案内の整え方を見ていきます。
ゲストにゴミを出させない運用でも、室内での分別には協力してもらえると助かります。回収後の仕分けがぐっと楽になるからです。この章では、ゲストが迷わないゴミ箱と案内のつくり方を紹介します。
室内のゴミ箱は、3種類程度に絞ります。
種類が多いほど、ゲストは迷って1つのゴミ箱にまとめてしまいます。3種類なら、初めて来たゲストでも一目で使い分けられます。
たとえば、次のように分けます。
ゴミ箱の色を変えるだけで、分別の精度はかなり上がります。細かい仕分けは、回収時にスタッフがすれば十分なんです。
ゴミ箱に貼る表示は、イラストと多言語を組み合わせます。
言語が通じないゲストでも、ペットボトルや缶の絵を見れば、何を入れるゴミ箱かがわかるからです。文字を読まなくても伝わる表示が、いちばんの近道になります。
表示には、ペットボトルやお弁当の容器など、実物の写真を使うのもおすすめです。英語・中国語・韓国語の3言語を添えれば、ほとんどのゲストに対応できますよ。
ハウスルール(宿泊者に守ってもらう施設のルール)には、「ゴミは室内に置く」ことを明記します。
到着してからの案内だけでは、ゲストが見落とすことがあります。事前に伝えておけば、「ゴミはどこに捨てるのか」と迷うゲストがいなくなります。
案内するのは、次の2つのタイミングです。
2回伝えておけば、到着した時点でゲストは「ゴミは部屋に置いておけばいい」とわかっています。
最後に、民泊のゴミについて、よく寄せられる質問にまとめて答えます。気になるものから読んでみてください。
はい。宿泊者が出したゴミは、家主が住んでいる民泊でも事業系ごみになります。
家主の家族が出す生活のゴミは、これまでどおり家庭ごみとして出せます。宿泊者のゴミと家庭ごみが混ざらないよう、ゴミ箱を分けておくと管理しやすいですよ。
清掃のときに回収して、許可業者に処理を任せます。ゲストが帰国した後では、本人に対応を求めるのは難しいのが現実です。
同じことが何度も起きるなら、ハウスルールに「大量のゴミを残した場合は追加の清掃料金をいただきます」と定めておく方法があります。予約サイトの規約に沿って請求できるよう、金額も書いておきましょう。
ゴミの量と回収の頻度で大きく変わります。まずは、2〜3社から見積もりを取ってみてください。
前述した処分の手数料は、あくまで自治体の料金の目安です。業者に頼む場合は、ここに運搬の費用が加わります。
ゴミを処理する責任は、住宅宿泊事業者(民泊の届出をしたオーナー)と、委託を受けた住宅宿泊管理業者にあります。
「ゲストが勝手にやったこと」という言い分は、近隣にも自治体にも通用しません。6章で紹介した「出させない」運用は、こうした責任への備えにもなります。
事業系の粗大ごみとして、許可業者に回収を頼みます。家庭の粗大ごみとして自治体に申し込むことはできません。
エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目は、家電リサイクル法(家電の再資源化を定めた法律)の対象です。家電量販店への引き取り依頼か、指定の引取場所への持ち込みが必要になります。
許可を持たない清掃業者が、ゴミを持ち帰って処分するのは違法になるおそれがあります。
他人が出したゴミを運ぶには、一般廃棄物や産業廃棄物の収集運搬業の許可が必要です。清掃を頼むときは、ゴミの処理方法と許可の有無を必ず聞いてください。「ついでに持って帰りますよ」という申し出は、ありがたいようで実は危ないんです。
まずはすぐに現場のゴミを回収し、苦情をくれた方に謝ります。
そのうえで、原因と再発防止策を具体的に伝えます。「ゲストにゴミを出させない運用に変えます」「保管場所に鍵を付けます」のように、何を変えるのかを示すと安心してもらえます。対応した内容は記録に残しておくと、同じ苦情が来たときに説明しやすくなりますよ。
この記事のまとめ
民泊のゴミは、法律を守るだけでは解決しません。ゲストの行動と近隣の目線まで考えて運用を組むことで、はじめてトラブルが止まります。
楽々プランニングでは、物件ごとにゴミの運用を設計し、清掃時の回収から業者の手配まで引き受けています。ゴミの苦情に悩んでいる方も、これから民泊を始める方も、まずはお気軽にご相談ください。